犬の椎間板ヘルニア発症は突然に…そのときどうする?治療法やセカンドオピニオン、自宅安静ケージレストの実態

【体験記】

ある日突然発症する、犬の椎間板ヘルニア

犬の椎間板ヘルニアとは

犬を飼う人にとって、愛犬が病気になるのはとても心配で心の痛む出来事です。
その中の一つが椎間板ヘルニア。
ミニチュアダックスフントやコーギーなど、足の短いわんちゃんは腰に負担がかかりやすく発症しやすい病気です。特にダックスフントは遺伝的にも椎間板がもろく、ダックスの85%は背中の中央部分にヘルニアの症状が出ると言われています。ただしどの犬種にも発症の可能性はあり、急な動きで腰を痛めることが引き金となります。

発症の原因は、背骨と背骨の間から椎間板が飛び出し、脊髄(神経)を圧迫して押しつぶすことで痛みや麻痺が出る神経の病気です。激しい運動や肥満等が原因です。

椎間板ヘルニアには[ハンセン1型]と[ハンセン2型]があります。

[ハンセン1型]

軟骨異栄養性犬種に起こりやすいタイプです。
(ダックスフント、コーギー、シーズー、ビーグル、ペキニーズ、コッカースパニエル等)
若齢のうちから椎間板が変性を起こし衝撃吸収力が低下したところに強い衝撃が加わることで発症します。3〜6歳の若さで急性に発症します。

[ハンセン2型]

加齢に伴い椎間板が変性するタイプで、成犬から老犬に多く、慢性的な経過を辿ることが多いとされています。

また、「脊髄軟化症」という病気を併発している場合があり、この場合は後ろ足から徐々に前方へと進む麻痺が心臓に到達し死に至ります。発症から3日以内にわんちゃんは亡くなってしまいますが、この病気は生前に判明することはできず死後の検査でわかるため、100%治る病気とは言えません。

症状

体に触るとキャン!と鳴いて痛がる、足を引きずる、これらの症状で飼い主は気付くことが多いです。
後ろ足を引きずって歩いている場合はすでに重症ですが、これらは突然起こるため飼い主は動揺してしまいがち。

その症状には1〜5までのグレードがあり、グレードによって内科的治療になるか手術になるかが決まります。

グレード別症状

[グレード1]

  • 軽度のため麻痺はなし。
  • 抱き上げるとキャン!と鳴いて痛がる
  • 段差の移動を避け始める
  • 背中を丸めている

[グレード2]

  • 足の動きが鈍くなる
  • ふらつく
  • 足先が裏返る
  • 自力で立ち上がったり歩くことはできる
  • 症状は後ろ足にだけ現れる(胸部や腰のヘルニアの場合)
    ※首のヘルニアの場合は前足にも症状あり

[グレード3]

  • 圧迫が重度になり後ろ足を自分の意思で動かせない
  • 後ろ足を引きずって前足だけで歩くようになる
  • つねってみて痛みを感じているかどうかが治る可能性の目安

「グレード4]

  • 自分の意思で排尿ができない

[グレード5]

  • 深部痛覚が消失する→後ろ足を強くつねっても痛みを感じない
治療方法

治療は大きく分けて内科的治療(内服薬)と外科的治療(手術)の二つです。
内科的治療では、家で薬を飲ませ、絶対安静が必要となります。動かないことが治療です。
一方、外科的治療はグレード3以上の症状で適応となり、グレードが低いほど治る確率は高く、治癒率は90〜95%となります。ただしグレード5での治療は治癒率は50%と低下し治らなかった場合は補助器具を使用しての生活となります。手術は1週間程度の入院と、その後のリハビリが必要で、正常に歩けるようになるまでには数日から数ヶ月程度かかります。

ある日とつぜん愛犬がふらついていた 〜我が家の場合

発症に気づいた夜

我が家のダックスも「とつぜん」でした。足がふらついてよろけています。
直前に行ったお散歩では元気に走っていたというのに、そのわずか3時間後に家の中でふらついていたのです。

11歳10ヶ月のオス、性格は生まれた時からおじいさんのようなおっとり穏やかな子。とても元気なのだけど活発に動くことはあまりなく、ドッグランへ連れて行っても走らず飼い主の足元に寝ているような子です。日々、インターホンにだけは猛烈に反応し吠えまくりますが、あとはひたすら爆睡という11年を過ごしてきました。

お散歩は大好きだけどのんびりゆったりペース。おもちゃで遊ぶこともほとんど無し。
そんな生活の中、10歳の時に妹わんこがやってきて、そこから彼の生活は一変しました。じゃれあって飛び乗って…追いかけっこまでしています!体を動かす機会が格段に増えました。

そんな中、病気という病気をしてこなかった子に突然のふらつき。老いだろうと思う一方で記憶を掠めた「椎間板ヘルニア」。そういえばウチの子なってないな…もしかしてこれがそうなんだろうか?

翌朝、病院へ

翌朝も変わらずよろけて歩いていたため、近くの病院へ連れて行ってみることにしました。
そうは言っても元気そうに見えるし、歩こうと思えば歩けている気もする。そんな風にあまり深刻に考えていなかったのに、診察する先生の口からいきなり飛び出したのは「手術かも」の言葉でした。

診断名もなく、検査もせず、視診と触診をした段階で飛び出した「手術」の2文字。
動揺を隠しながら、先生に説明を求めました。

おそらく椎間板ヘルニアであること、薬を出すから2日飲んで、壊れもののように扱って安静にさせ、2日後に再受診。
もしもその間に急変したら即手術になるので他院を紹介するという内容。

飲み薬は消炎剤のオンシオール10mgを一日1回、ガバペンを一日2回で処方されました。
薬3日分と再診料合わせて1540円です。

なんと手術は50万円以上はかかるとのこと。突然の発症で不安な中さらに突然50万円必要とは!!急変、即手術、他院、50万円…頭が追いつきませんでした。
とにかく大事にそーっと抱きかかえて帰宅したものの、犬の安静ってなんだ?!という壁にぶつかりました。

発症からの過ごし方[1日目 受診、ひたすら寄り添って見守る]

何をどうすればいいのか全く分かりませんでした。
まずとにかくワンコを動かさないようにすることが必要です。ケージを使用せずに暮らしていたため、閉じ込められる場所はクレートのみ。でもクレートでは狭くて余計に腰を痛めそうです。とりあえずいつものベッドに寝かせ、その隣に座り込み、じっと見張ることで安静を保つ1日を過ごしました。

ワンコが歩き出すとドキッとして、慌てて「お水?!トイレ?!」と運んであげて…
飲ませた薬のせいなのか、とにかく眠り続ける時間が長かったです。

発症からの過ごし方[2日目 別の病院をあたる]

仕事を休んでワンコを見守って過ごしました。
薬が効いたのかふらつきは改善されて少し楽そうですが、逆に動きたくなってしまったのか安静が難しい状態に。

見守りをしながらネット検索を続け、病気について調べました。
受診しても安心できなかった理由は診断の確定要素がないまま治療が始まったこと。引っ越し前に通っていた病院を検索したら、なんとヘルニアに詳しい先生だったとわかり、電話で相談してみることにしました。

状況を伝え、一度診てほしい旨を伝えたところ、翌日に予約を取ることができました。レントゲンも血液検査もしていないことを伝えた時の反応から、やはりこの不安は正しかったのだと確信。診てもらえる安心感からこの日は自分の精神面が落ち着きました。

近くの病院の先生にどう伝えるか、セカンドオピニオンについても調べました。

そしてもう一つ重要なのがいざとなった時の手術代。口座残高をかき集め、50万円集められるかどうかを確認しました。この目処が立ったことも気持ちが少し落ち着いた要素でした。

発症からの過ごし方[3日目 再受診]

まずは近くの病院を再受診しました。前回と同じ触診をし、改善はしているので薬を続け、状況次第で手術へシフトするという説明がありました。

別の病院へ行くことについて、以前通っていた病院がヘルニア手術もできる病院であったということをメインに、そちらも受診して今後のことを決めたいと話しました。快く理解を示していただき、内服薬で治療するならこちらに戻るもよし、そちらの先生にお任せするもよし、決めたら連絡を下さいとのことでした。
今後のワクチンやフィラリア、狂犬病等では通院を続けたい病院なので、こじれず済んでほっとしました。
この日のお会計も前回と全く同じ1540円。薬も3日分処方されました。

発症からの過ごし方[3日目午後 セカンドオピニオン受診し治療を決める]

午後、以前通っていた病院へ。
診察からお話から、全てが安心感に包まれた対応でした。ヘルニアについての説明をされ、触診、そしてレントゲンと血液検査。

足のふらつきが必ずしもヘルニアのせいとは限らないため、血液検査は内臓疾患によるものではないことを確定するための検査です。高齢のため、他の脊髄の病気の可能性も無いとは言えないからです。
30分ほど待って呼ばれ、結果と治療についてお話がありました。

まず血液検査で内臓については全く問題がなくとても健康的。数値の高い部分もありましたが年齢相応。癌の炎症反応を示す数値も問題なく、安心できる検査結果でした。
ここで椎間板ヘルニアが確定です。

そしてレントゲンを見ると、我が家のワンコは多発性のヘルニア。高齢になって初めて発症しているハンセン2型で進行は遅くグレード2。手術対象ではないので内服薬治療ということになりました。
背中のど真ん中のところで発症しており、症状は右に強く出ていて、1週間は安静。その後は3〜6週間かけて飛び出した椎間板が固まって徐々に落ち着いていくのを待つ治療になります。

こちらのお会計は28589円でした。
再診療、レントゲン、血液検査、内服薬を14日分。
薬は同じくガバペンを一日2回と、もう一つは腎臓への負担の軽いガリプラント20mgを一日1回で処方されました。血液検査で数値が高かった腎臓への配慮です。

一連の診察すべてにおいて安心できたので、通院に片道1時間はかかりますがこちらに通って治療することに決めました。家の近くの病院へは帰宅後すぐに電話。事情を伝えると、「大丈夫ですよまた何かあったら連絡くださいね」と言っていただきました。

ところで我が家のワンコ、体重が6.3kgあったのですが、なんとこれが適正ど真ん中でした。
ヘルニアの子の場合、太るのはNGですが痩せすぎるのも筋力が弱くなって良くないらしく、6〜6.5kgが最適とのことでした。
ここ1〜2年でどんどん体重が増加するようになっていたこともあり、太らせたことが原因かな…と思っていましたが、その不安と後悔も払拭してもらえました。

ここの先生のお話では、ダックスは若い頃に一度ヘルニアを発症して治し、このくらいの年齢になって再発して…という流れが多いのだそう。特にダックスが日本で流行った世代であるウチの子世代ではそのパターンが顕著なんだとか。ここまでヘルニアにならなかったことの方が幸運だったようです。
そして検査で見る限り、心臓が強い子で長生きしそう、腰との付き合いになるね〜とのことでした。
とても不安になって過ごしたこの3日間が嘘のように、「長生きしてくれる!生きてるならなんでもいい!」と思えるように。
ヘルニアは、治せれば死なない病気です。だからこそ落ち着いて安静をキープして治したい!そう思いました。

発症からの過ごし方[4日目以降 家族で休みをとりながら見守り]

とにかく安静を保とうという目標のもと、幼犬時代のケージを再設置し、昼も夜も常に誰かがワンコに寄り添い、介助しながら過ごす日が4日ほど続きました。

発症からの過ごし方[8日目 初めて留守番をさせる]

初めてワンコ2匹でお留守番をさせて出勤しました。
この日、ワンコの過ごすスペースを再構築。ケージ内では留守番できない(吠える)ことを想定し、より通常に近い環境で動きを制限できる状態を作りました。ケージ内にベッドとトイレを置いても、このトイレですることは断固として拒否していたので、ケージでお留守番は我が家の場合は無理でした。


それはリビングの一角をワンコ用に提供したスペシャル空間。

ソファとテレビ台の間の通路をケージと空気清浄機で塞ぎ、ソファベッドの引き出し部分を引き出した状態で固定、緩やかな段差移動でソファに乗れるように階段やクッションを設置して、この空間内で全てが済むようにトイレと水を設置しました。
階段は空き牛乳パックを集めて作った自作です。

ごちゃごちゃと狭く見えますが、実際は空間が広くいつも通りな居心地。ここで妹わんこと一緒に過ごせることも、メンタル面で良さそうです。
いつものクッションの上で満足そうに寝ています。

治療しながら生活をする

ケージレストは考え方と工夫次第

言葉の通じないワンコに絶対安静というのはかなりの難問です。
寝てなさい!なんて言って寝ているわけもなく、インターホンがなれば吠えて飛び起きるし、大好きな妹ワンコが近寄れば馬乗りになって舐め始めて可愛がったり…だからといってクレートに閉じ込めて放置なんて可哀想でできません。

家事をしないといけない、おつかいに行くから30分待っててね、そんな時はクレートは大活躍します。ほんの少し、ここで我慢していてねということもできます。

でもそれ以外の時間。特に仕事に行く時はどうすればいいのか?愛犬が病気になったら仕事はやめて常に付き添わないとならないのか?
実際本当に足が麻痺して排泄も自力でできないとなったら、仕事はやめて一緒に過ごすと思います。でも今はまだそこまでの症状ではありません。

「いかにワンコ自身が動きを制限されている感覚なく大人しく過ごせるか」それがポイント。クレートの中で全く動くなと言われても、寝返りは打ちたいし、トイレにだっていきたい。ワンコの身になって考えれば当然ですよね。閉じ込められると出たくて騒いでぴょんぴょん跳ねてしまうけど、いざ自由を与えるといつもの場所でじっと寝ているだけ…(笑)そんなものかもしれません。
症状やワンコの性格を見極めて、無理のない制限を考えることが大事なのかもしれませんね。
おそらく我が家の妹ワンコの場合はまた違うと思います。同じように制限しても上手くいかないと思います。その子その子に合ったやり方で安静を考える、ベストな方法はその子を一番よく知っている飼い主さんでしかわからないことなのかもしれません。

遠い病院への通院方法を考える

我が家の治療と安静はまだまだ続きます。今後の通院は公共交通機関で行く可能性が高いため、ワンコも私もお互いが長時間に耐えられる移動方法を検討しました。

  • 手持ちのトート型キャリーバッグに入れて抱えていく →重すぎて無理
  • クレートで運ぶ →重すぎて無理
  • カートで運ぶ →バスに乗れない
  • リュック型を検討する →ダックスの入るリュック型は大きすぎて非現実的
  • コロコロキャスター付きのキャリーを検討する →バスに乗れて、降りた後も引いて歩ける

結果、キャスター付きのキャリーを購入しました。リュックにもなるタイプで万が一の場所も一瞬リュックで背負える安心感があります。

実物を見てから購入したかったのでペットショップを回りました。たまたまネットで候補にしていた物を店頭で見ることができ、キャスターの滑らかさやキャリー自体のつくり、重さ、丈夫さなども確認できました。

次回の通院に間に合うようにネットで発注。(店頭ではダックス用は取り寄せのため受診日に間に合いませんでした)
3日後には到着!箱の中にさらに箱…厳重です。

開けるとワンコたち群がって、我先にと中へ入りたがりました。

リュックはやっぱりかなり大きい印象。でも背負えないほどの重さではなく、短距離なら移動できそうです。
ダックスにはダックス用で正解でした!特にウチのワンコは特に体長が長めなのでこれでぴったりです。

購入したのはこちらのキャリーです。


【OFT】ブロッサムリュックキャリー ミニチュアダックス用[ペットキャリー バッグ ケース カート 犬 猫 おすすめ おしゃれ コロコロ キャリー ペット 旅行 お出かけ 4way ショルダー 小型犬 耐荷重 8kg ランキング]

価格:13,200円
(2021/11/2 12:50時点)
感想(4件)

ダックス用以外にもいろんなサイズがあり、どれもとても魅力的でした。
実物は池袋西武LOFTのペット売り場に種類豊富に展示されていますので(2021年10月末現在)、手に取って確認されたい方はぜひ♪

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました